朝ちゅる夜タンの箱が届いたのに、私がいちばんザワついたのは肌じゃなくて「音」だった

今朝の東京は、窓を少しだけ開けても「寒っ」って言葉が口から逃げないタイプの冷え方で、加湿器の白い息だけが元気に見えました。ベッドから出るまでに三回くらいスマホを見て、別に急ぎの通知なんてないのに勝手に心が忙しくなって、結局いつもどおりの時間に、いつもどおりの顔で、いつもどおりの仕事へ向かう準備をする。
こういう「変わらない朝」が、ありがたい日もあるし、ちょっとだけ虚しい日もある。今日は後者寄りで、鏡の前で前髪を整えながら、「わたし、何を整えようとしてるんだろ」って、急に変なことを思ったりしました。
そして帰宅した夜、玄関の前に小さめの段ボールが置いてあって。
注文していたBIOHEAL BOHの「Sonkyou’s PICK!★Sonkyouコラボ朝ちゅる夜タン企画セット」、あの“最大60%OFF+ギフトいろいろ”って書かれてる、ちょっと祭りみたいなセットです。
……なのに、箱を見た瞬間の私の第一声は、「やば、音立てないように開けなきゃ」でした。
たぶん、同じ一人暮らしでも、こういう瞬間って人によって全然違う。わたしは昔から、うれしいものが届いても、まず最初に“周りに迷惑をかけない手順”を考えてしまうところがあって、今日もそれが出ました。わかる…って人、意外といると思う。わかる…っていうより「わたしも、うれしいのに肩に力入ってる」ってやつ。
ちなみに、箱を持って部屋に入る前、ちょうど同じフロアの人と廊下ですれ違って、私は反射で箱を胸に抱え込みました。
「こんばんは」と言いながら、視線が一瞬だけ段ボールのロゴに落ちた気がして、勝手に心の中で裁判が始まるんです。
“また買い物してるって思われた?” “いや、別に思われてもいいじゃん” “でも、なんか恥ずかしい”――この三段跳び。
こういうときの私は、堂々としたいのに、堂々とすると逆に目立つ気がして、結局いちばん中途半端な態度になる。
それがもう、情けないけど、私らしい。
一人暮らしって、誰にも干渉されない代わりに、ちょっとした他人との接点が“イベント”になりやすい。
だからこそ私は、イベントが起きないように、音も視線も、先回りして小さく畳んでしまうのかもしれません。
小さな出来事は、ただそれだけ。
宅配の箱が届いて、開けただけ。
でもその“開けただけ”の中に、今日の私の本音がぎゅうっと詰まっていました。
玄関の前で、こっそり深呼吸してしまう癖

玄関って、部屋の中なのに外みたいな顔してる場所で、特に夜は、音がやけに響く気がしませんか。鍵を回す音、靴を脱ぐ音、段ボールがこすれる音。
私は、隣の部屋の生活音が気になって眠れない、みたいなタイプではないんだけど、逆に「自分の音が相手の生活を邪魔してないかな」っていう方向に、すぐ意識が向く。
段ボールを持ち上げたときのガサッ、という音が、やけに大きく聞こえて、反射で肩がすくみました。
そこで、誰にも言わなかった本音がひょいっと顔を出したんです。
「私、誰かに“うるさい”って思われたら終わるって、どこかで思ってる」
終わるって何が、って感じなんだけど、こういう思い込みって、説明しようとすると急にあいまいになる。
ただ私は、日々の暮らしのなかで“嫌われる可能性”を、いつも小さく避けながら歩いてる気がします。職場でも、電車でも、コンビニでも。
その癖が、スキンケアの箱ひとつで、こんなにも分かりやすく出るのか…って、ちょっと笑ってしまった。自分のこと、面倒くさいなって。
ちなみにこの「朝ちゅる夜タン」って呼び方、最初はネーミングがかわいすぎて何の呪文かと思ったんだけど、BIOHEAL BOHの中で人気の3Dリフティングクリームが“タンタン”って愛称で呼ばれてることが由来っぽいらしい。韓国語でハリや弾力のことを「タンタン」って言う、という話も見かけました。
そういう背景を知ると、箱の中身がどうこうより、「朝はちゅるっと軽やかに、夜はタンっと守る」っていう“切り替え”の感じが、なんとなく生活っぽくて、私は好きです。
でも今日は、その切り替えの話じゃなくて。
私の中の“音にビビる生き物”の話。
「早く捨てたい」のに、捨てるのが怖い夜
箱を部屋に運び入れて、上着を脱いで、まずは手洗い。ここまではいつものルーティン。
そこから段ボールを開けるんだけど、テープをはがす音が、夜の部屋だとやけに主張してくる。
私はハサミで切る派なんだけど、ハサミの先でテープをちょん、と持ち上げるときの「パリ…」が、まるでホラー映画の効果音みたいに響いて、また肩が上がる。
ここで、今日いちばん情けない(でも正直)な気持ちが出ました。
「私、嬉しい買い物をしたのに、後始末のことでビクビクしてるの、なんなん」
段ボールって、存在してるだけで生活感を増やすじゃないですか。
部屋の隅に立てかけた瞬間から、“片付けなきゃ案件”として圧をかけてくる。
でも夜にたたむと音が出るし、ゴミ置き場に持っていくのも、なんとなく気まずい。誰も見てないはずなのに、「この人、ネットでいっぱい買ってる」って思われたらどうしよう、みたいな妄想が始まる。
これ、冷静に書くとすごく小さい悩みなんだけど、こういう“小さい気まずさ”の積み重ねで、一人暮らしって地味に疲れる日がある。
誰にも頼らない自由と、誰にも甘えない不器用さが、いつもセットでくっついてくる。
それに、今回の企画セットって「ギフトが追加」「クーポンがどうこう」みたいに、お得の要素が盛りだくさんで、テンションが上がりやすい構造になってる。
だからこそ私は、箱を開ける前から、ちょっとだけ気持ちがふわっと浮いてたんです。
浮いてたのに、テープの音で一気に現実に引き戻されて、「はいはい、生活ってこうだよね」って冷める。
この落差が、なんか、今日の私らしい。
“丁寧な暮らし”って、静かに頑張りすぎることじゃない
結局、私はテープをゆっくり切って、箱をそっと開けました。
中身は、ちゃんとかわいく梱包されてて、こういうのって単純に気分が上がる。
でも私は、商品を手に取る前に、まず段ボールをたたみました。しかも、音が出ないように、床にタオルを敷いて。自分でも笑う。
そのとき、ふと小さな違和感が立ち上がってきたんです。
「私が気にしてる“迷惑”って、実際に誰かを困らせた迷惑じゃなくて、想像の中の迷惑だよね」
もちろん、本当に騒音で困ってる人もいるし、配慮は大事。
でも、私が今日やっていたのは配慮というより、“自分が責められないための予防”みたいな行動だった。
丁寧な暮らしって、食器を拭くとか、床を磨くとか、そういう見た目の話だけじゃなくて。
本当は「自分の機嫌を、余計な不安で削らない」っていう方が、ずっと丁寧なのかもしれない。
私は最近、“丁寧に暮らしたい”って気持ちが強くなるほど、逆に「ちゃんとできない自分」にイラつくことが増えてました。
仕事で疲れて帰ってきて、洗濯物を畳めないまま寝落ちして、翌朝バタバタして、自己嫌悪。
その延長線上で、段ボールの音まで「ちゃんとしなきゃ」に入れてしまう。
ちょっと待って、私、誰と競争してるんだろう。
今日のささやかな変化は、ここでした。
段ボールをたたみ終えたあと、私は「すみません」じゃなくて、「よし、おつかれ」って、小声で自分に言ってみたんです。
誰も聞いてないし、聞かせる気もない。
でも、“自分にかける言葉”だけは、意外と毎日ちゃんと聞こえてる。
だから、せめてそこで、ビクビクした言い方をやめたかった。
それだけ。
この企画セットの「朝ちゅる夜タン」って、朝と夜でスイッチを切り替えるみたいなコンセプトがあるらしいけど、
私も今日、ひとつスイッチを切り替えたのかもしれません。
“周りに迷惑をかけない私”から、“自分を静かに追い詰めない私”へ。
大げさに言うとそうなんだけど、実際は、段ボールをたたんでタオルを片付けただけです。
それでも、こういう小さな切り替えって、たぶん積み重なる。
何かが劇的に良くなるわけじゃないけど、「あ、また私、想像の中で怒られてた」って気づける回数が増えるだけで、暮らしの呼吸が少し楽になる気がします。
夜、湯気の立つマグカップを両手で包んで、部屋の静けさに耳を澄ませたら、隣の部屋からほんの少し生活音がしました。
その音に、私はなぜか安心して。
「みんな、ちゃんと生きてるんだな」って思った。
……なんて書くと、ちょっときれいすぎるかな。
本当は、安心した直後に「うちの洗濯機の音、うるさくないよね?」ってまた考えて、ひとりで苦笑いしたんだけど。
明日の朝になったら、また普通にバタバタして、今日のこの気づきも薄まるかもしれない。
でも、薄まったとしても「一回気づけた」って事実だけは残るから、それで十分だと思いたい。
あなたは、今日どんな“音”に、心が反応しましたか。
それは本当に誰かのための配慮だったのか、それとも、自分を守るための予防だったのか。
どっちでもいいけど、せめて今夜は、自分にかける言葉だけは、少しだけやさしくしてあげてもいいのかもしれません。





