サプリの賞味期限が切れていた夜、捨てるか迷う私が考えたこと

帰り道、ドラッグストアの前を通ったとき、レジ横の「ビタミンC」「鉄分」「睡眠サポート」みたいな文字が、やけに明るく見えました。冬の夜って街が勝手にハイライトになる。息が白くなるほど冷たいのに、看板だけは「大丈夫、あなたはまだ整えられるよ」って言ってくるみたいで、なんだかムッとします。
家に着いて、コートを脱いで、手を洗って、いつもならそのままキッチンへ直行するのに、今日は洗面台の下の引き出しを開けました。理由は単純で、さっきの看板に負けたくなかったから。私は“整えてる側”でいたい。少なくとも、自分にそう思わせておきたい。
引き出しの奥に、透明のケースがいくつか重なっていて、ラベルが少しだけ黄ばんでいました。いつ買ったのか覚えていないサプリメント。開封済みの袋。試供品でもらった小袋。たぶん「今の私に必要かも」と思って買って、「飲む」という行為を“未来の自分への投資”みたいに扱っていた頃の残骸。
そして、そこにちゃんと書いてありました。
賞味期限。
……切れてる。
「うわ、やっちゃった」と声に出してしまって、思った以上に自分がその事実に動揺していることに気づきました。サプリって、食べ物みたいにカビが生えるわけでも、匂いが変わるわけでもない。見た目はまだ、きれいな錠剤のまま。触れば乾いてる。振ればカラカラ音がする。なのに、期限の数字だけが、私のだらしなさを一行で証明してくる。
この瞬間のモヤモヤって、たぶんサプリそのものじゃなくて、「ちゃんとしようとして、ちゃんとできなかった自分」に向くんですよね。
私は、そういう小さな失敗に、いちいち心が引っかかるタイプです。
どうしよう。
飲む? 捨てる? でも、捨てるのって、なんだか負けた気がする。買った自分の判断を、ゴミ箱に放り投げるみたいで。かといって飲むのも、ちょっと怖い。怖いのは“体に悪いかも”というより、“自分が雑に扱われてる感じ”がするから。期限切れのものを自分に入れるって、私が私を後回しにしている証拠みたいで、そこが嫌でした。
スマホで検索する手が、やけに慣れているのも嫌でした。私は困ったらすぐ検索して、正解っぽいものを探す。そうやって、感情を薄めて、事実の服を着せて、落ち着いたふりをする。今日もその癖が出る。
「サプリ 賞味期限切れ 飲める」
予測変換が、やさしい顔で出てきます。みんな同じことを調べてるんだ、って少しだけ安心して、でも同時に、私だけじゃないのに、なんでこんなに恥ずかしいんだろうとも思いました。
出てきた情報を読むうちに、私はさらに落ち着かなくなりました。
賞味期限(あるいは使用期限)って、「その日を過ぎたら危険」というより、「その日までなら品質が保たれると確認されている期間」だという考え方がある。医薬品の期限について、アメリカFDAは“安定性=強さ(strength)・品質・純度が保たれる期間”だと説明しています。保存条件が守られていることが前提で。
サプリメントは薬じゃないから、単純に同じ話にできないのに、私は都合よく「期限ってそういう意味なら…」と心が揺れます。危険じゃないなら、飲んでもいい? でも“危険じゃない”と“効果がある”は別。むしろ期限を過ぎると、有効成分の量や働きが落ちる可能性がある。環境要因(温度や湿度)などが安定性に影響するという話もあって、文字だけで不安がふくらむ。
なんだろう、ここまで読むと、私が欲しいのは「飲んでいいよ」「捨てなよ」っていう結論じゃなくて、「あなた、ちゃんとやってるよ」っていう許可なのかもしれません。期限を切らした自分を、誰かに軽く笑って許してほしい。たぶん本音はそこ。
日本の健康食品関連の相談窓口でも、「どれくらい持つかはパッケージの賞味期限を確認して」と、すごく当たり前の答えが書かれていました。
当たり前すぎて、ちょっと痛い。だって確認してなかったのは私だから。
メーカーのQ&Aを見ると、開封後は早めに、期限が過ぎたものは摂取を控えて、みたいな表現が多い。私はその“控えて”の言い方に、なぜか救われる部分もありました。「絶対ダメ」じゃない。だけど「おすすめはしない」。その曖昧さが、現実っぽい。
でも、現実っぽい曖昧さって、結局、判断を自分に返してくるんですよね。
いちばん苦手なやつ。
私はサプリの袋をテーブルに置いて、しばらく眺めました。賞味期限が半年くらい過ぎているものもあれば、数週間だけ過ぎているものもある。粒の種類もいろいろで、カプセル、錠剤、粉。匂いがするものと、しないもの。手に取ると、私の生活がそのまま並んでいるみたいでした。「頑張りたい」が並んで、「続かなかった」が混じって、「忘れてた」が重なっている。
サプリって、体のために飲むのに、どこか心のためでもあると思うんです。
飲むとき、私は「今日も自分を大事にした」って小さく思える。実際には何も変わっていない日でも、粒ひとつで“整えた感”が手に入る。私はその感覚が好きで、同時にちょっと怖い。好きなものほど依存したくなるから。
で、賞味期限が切れてしまった今、その“整えた感”が裏返って、「整えられてない自分」が浮き彫りになる。ああ、だから私はこんなにイライラするんだ。
ここで、開封後の話も気になってきました。
開けたらどのくらいもつの? 袋の口を何回も開け閉めして、湿気が入って、手で触れて、空気にさらされて。食品表示の文脈では、開封後は保存方法が変わることもあるから、表示に従って扱う必要がある、と消費者庁の資料にも書かれていました。
サプリも食品の一部だと考えるなら、開封後の“私の扱い方”がかなり影響していそうで、急に不安になります。私は、たまに濡れた手で触ったことがある気がする。台所の湯気の近くに置いたこともある。旅行のとき、ポーチに詰め替えて持ち歩いたこともある。こういう「私はたぶん雑」という告白が、私の中にいくつもあります。
そしてさらに、私は気づいてしまう。
期限切れのサプリをどうするかって、結局「期限切れの私の体力をどう扱うか」に似ている。
忙しくて疲れてる日、私は“あとで回復すればいい”って自分を後回しにする。睡眠を削って、食事を適当にして、歩く距離を短くして、「大丈夫、まだいける」って言い聞かせる。そうやって期限を延ばすみたいに生きて、ある日ふと、引き出しの奥で期限が切れているものを見つける。
それがサプリなら、まだ笑える。でも、これが私の心身だったら?
……こういう考え方、ちょっと大げさだってわかってます。
わかってるのに、私はこういうところで自分を責めるクセがある。
それでも、事実として言えることもあります。
期限って、“その日を過ぎた瞬間に毒になる”みたいな魔法の線じゃない。期限表示は、適切な保存条件のもとで品質が保たれる期間を示す考え方が一般にあります。
ただし、期限が過ぎれば成分の安定性や表示通りの含有量が保証されにくくなる可能性がある。温度や湿度といった環境で変化することもあり得る。
そして、少なくとも多くのメーカーは「期限を過ぎたものの摂取は控えて」「開封後は早めに」と案内する傾向がある。
ここまで読むと、じゃあ私はどうするの? って話なんだけど、私は今日、答えを出し切りたくありません。
なぜなら、答えを出した瞬間に、私はまた“正しい私”を演じようとする気がするから。
捨てるなら、潔く捨てたい。でも捨てるとき、私は「もったいない」「お金を無駄にした」「続かなかった」という言葉をついセットで付けてしまう。それは、ゴミ袋に入れているのがサプリじゃなくて、自分の努力そのものみたいに感じるから。
飲むなら、飲むで、私は罪悪感と一緒に飲み込む気がする。「期限切れを飲んでしまう自分」っていうラベルを、舌の上で転がして、飲み込む。たぶんそれは、体より心に悪い。
じゃあ、第三の選択肢は?
一回、棚卸しをする。
サプリの引き出しを“過去の私の保管庫”にしない。
開封済みのもの、期限が近いもの、今の体調に必要なもの、なんとなくで買ったもの。分けて、眺めて、今の私が決め直す。
それって、サプリの話をしているようで、生活の話でもある気がします。
私は結局、期限が大幅に過ぎたものは捨てました。まだ数週間だけ過ぎているものは、箱ごと別の場所に移して「いったん保留」にしました。潔いようで、全然潔くない。でも、その中途半端さが、今の私にはちょうどいい気もしています。
捨てる瞬間、思ったより胸が痛くて、笑ってしまいました。
“たかがサプリ”なのに。
でも“たかが”って言いながら、私はいろんなものをサプリに預けてきたんだと思います。元気。余裕。自信。未来の私への期待。だから痛い。
引き出しの奥の期限切れが、私に言ったこと

サプリの期限って、結局「いつまで効くか」だけじゃなくて、「私は今、自分に何を期待しているか」を映す鏡みたいだな、と今日思いました。
いつもより丁寧に暮らしたい。
肌も気分も整えたい。
将来の不安を、少しでも小さくしたい。
そういう願いがあるから、私はサプリを買う。
でも同時に、私は続かない。忘れる。置きっぱなしにする。期限を切らす。
その“できなさ”が、私の現実でもある。
開封後の空気と、揺れる「自分を大事にする」の基準
開けた瞬間から、サプリは空気や湿気に触れて、少しずつ“私の生活の環境”の影響を受ける。
それって、私の心も同じかもしれないと思いました。
気づかないうちに、乾燥していく。
小さなストレスが入ってくる。
雑な扱いをした日が積み重なる。
そしてある日、「あ、期限切れかも」と気づく。
じゃあ、私たちはいつ“開封した”んだろう。
自立した日? ひとり暮らしを始めた日? 仕事に慣れた日? 誰かと別れた日?
開封の日がわからないまま、私たちは“まだ大丈夫”を繰り返す。
サプリの袋に書かれた期限は、少なくとも数字で見える。
でも私の期限って、どこにも書いてない。
だからこそ、私はたまにサプリの期限に怒って、同時に安心するのかもしれません。境界線があるって、少し羨ましい。
今日の私は、「期限切れは控えるべき」という情報を読んで、たぶんそれが無難だと理解しました。ハーバー
一方で、「期限=品質が保たれると確認された期間」という考え方を知って、期限の向こう側が即アウトではないことも知りました。
どっちも本当っぽい。だから迷う。迷うのが普通で、迷うこと自体が私の暮らしなんだと思います。
今夜、私は新しいサプリを買わないことにしました。
引き出しを閉めて、湯を沸かして、白湯を飲みました。たぶん、それが今日の私の“整え”です。錠剤じゃなくて、熱い水。味気ないけど、確実に温かい。身体の中に、ちゃんと手を当てる感じがしました。
答えはまだ出ていません。
期限切れのサプリを、あなたならどうしますか。
私はたぶん、明日になっても少し迷って、でも迷いながら、また引き出しを開ける気がします。
そして、そのときの私は今日より少しだけ、「自分を後回しにしない」ってどういうことかを考えているはずです。
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