深夜、スキンケアをやめたくなった日の話

6月の夜です。
窓を少しだけ開けると、湿気を含んだ風がカーテンを揺らします。
梅雨入りの気配が近づくこの時期は、肌も心もなんだか不安定になります。
今日はそんな夜にふと思ったことを書いてみます。
最近の美容メディアでは「やりすぎスキンケアによる肌バリア低下」が話題になっています。美容成分を重ねすぎるより、肌を守ることを優先する考え方が広がっています。
でも、30代独身女性の悩みは少し違います。
私たちは肌そのものより、「スキンケアを頑張り続けなければいけない気持ち」に疲れているのかもしれません。
毎晩増えていく美容液の数
数年前の私は、スキンケアを増やせば増やすほど綺麗になれると思っていました。
化粧水。
導入美容液。
ビタミンC。
ナイアシンアミド。
レチノール。
クリーム。
アイクリーム。
パック。
気づけば洗面台は小さな美容専門店のようになっていました。
SNSを開けば、
「これを使ったら毛穴が消えた」
「これで人生変わった」
そんな投稿ばかり流れてきます。
買わなければ置いていかれる気がしました。
だけど不思議です。
アイテムは増えるのに安心感は増えませんでした。
むしろ、
「今日はレチノール塗ったっけ」
「ビタミンC忘れた」
「この順番で合ってる?」
そんな確認作業ばかり増えていきました。
肌のために始めたはずなのに、いつの間にか宿題みたいになっていたのです。
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思い返すと20代前半の頃は違いました。
ドラッグストアで500円のパックを買うだけで嬉しかった。
鏡を見るたびにワクワクしていました。
なのに30代になると、
シワ。
毛穴。
たるみ。
シミ。
未来への不安ばかり探してしまいます。
まだ起きていない老化を先回りして恐れているのです。
美容情報を集めれば集めるほど、自分の欠点ばかり見つけるようになりました。
ある日、鏡を見ながら思いました。
「私、いつからこんなに減点方式になったんだろう」
と。
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そんなある日。
肌が少し赤くなりました。
原因はわかりません。
新しい美容液かもしれないし、寝不足かもしれない。
思い切って一週間だけスキンケアを減らしてみることにしました。
洗顔。
保湿。
日焼け止め。
それだけ。
正直怖かったです。
何かをサボっている気がしました。
でも数日後、意外なことが起きました。
肌が落ち着いたのです。
もちろんシミが消えたわけではありません。
毛穴もあります。
でもヒリヒリ感がなくなりました。
そして何より、
夜の自由時間が増えました。
本を読んだり。
ラジオを聞いたり。
ぼんやりアイスを食べたり。
肌よりも先に、心が回復していったのです。
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ここで皆さんはこう思うかもしれません。
「結局シンプルケアが正解だった話でしょ?」
違うのです。
実はこの話には続きがあります。
スキンケアを減らして数週間後。
私は久しぶりに友人と会いました。
すると友人が言いました。
「最近なんか雰囲気変わったね」
私は心の中でガッツポーズをしました。
きっと肌が綺麗になったんだ。
そう思ったのです。
でも友人は続けました。
「前より笑うようになった」
と。
その瞬間、少しだけ泣きそうになりました。
私が必死に改善しようとしていたのは毛穴でした。
だけど周りが見ていたのは表情だったのです。
高級美容液でもありません。
話題の成分でもありません。
美容医療でもありません。
私を少し魅力的に見せていたのは、
夜に好きな本を読む時間。
よく眠れた朝。
友達との雑談。
そんな当たり前の日常でした。
これは美容記事としては少し裏切りかもしれません。
スキンケアの記事なのに、最後の結論が美容液ではないのですから。
でも30代になって思います。
肌は人生の一部です。
人生そのものではありません。
だから今日もし疲れているなら、
パックを一枚休んでも大丈夫です。
美容液を塗り忘れても大丈夫です。
その代わり、好きな音楽を聴いてください。
少し早く寝てください。
夜風を感じてください。
そのほうが明日の顔は案外やわらかいかもしれません。
6月の湿った夜。
鏡の前でため息をついている誰かに、この話が届いたら嬉しいです。
肌を守る前に、自分の心を守る。
最近のスキンケアトレンドが「肌バリアを守ること」を重視しているように、私たちも心のバリアを守ることが必要なのかもしれません。
そして今夜は、美容液より先に。
自分自身に優しくしてあげてください。





