ひとりの夜に自分を満たす選択肢。デリケートゾーン用温感ジェルで“気持ちよさ”を取り戻す静かな時間

きれいな女性
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触れることを我慢してきた私へ。無香料ホットジェルで始めるセルフケアというご褒美時間

眺める女性

終電ひとつ手前の駅で降りて、わざと遠回りして帰った。二月の夜は、空気がやけに薄い。コンビニの駐車場だけが明るくて、そこだけ別の季節みたいに見える。イヤホンから流れてくる音楽も、今日はやさしくなかった。歩幅はいつも通りのはずなのに、心だけが遅れている感じ。

原因は、たいしたことじゃない。たぶん。
午後の会議で、私は「それ、私がやります」と言えなかった。言おうとして、喉の奥で言葉が引っかかったまま、別の人の「やります」で話が進んだ。誰も責めていないし、私も責められていない。なのに、帰り道の私はずっと「小さくなった自分」を引きずっていた。

家に着いて玄関で靴を脱ぐと、床が冷たくて、足の裏が「今日ここまで頑張ったね」と言ってくるみたいだった。私はコートを脱ぎながら、なぜか笑ってしまった。こういう日はだいたい、涙の代わりに笑いが出る。可愛げがないとか、強がりだとか、そういう評価を自分に付けたくないのに、勝手にラベルが貼られていく。

手洗いをして、鏡の前に立つ。ファンデは落ちかけて、目元だけが濃く残っている。いつもの私。だけど、今日は「いつもの私」でいることがしんどい。誰にも見せないところで、少しだけ違う私になりたい。何かを変えたいというより、ほんの一瞬、気持ちの向きだけを変えたい。

そう思ったのは、夕方にスマホで何気なく見てしまった広告がきっかけだった。


「もっと気持ち良くなりたい女性へ『ラブコスメ リュイール ホット』」


名前だけで少し照れるのに、照れる自分にも照れる。こういう商品って、必要な人がこっそり使って、でも表向きには「そんなのいらないよね」って顔をする世界のものだと思っていた。…というより、私が勝手にそういう世界にしていた。

でも、今日の私は、何かに「いらない」って言い切る元気がなかった。余裕がないと、強がりは意外と先に折れる。たぶんそれは悪いことじゃなくて、正直に戻るための小さな道なんだと思う。

私は引き出しの奥にしまっていた小さな箱を取り出した。届いた時は、妙に丁寧な梱包に「見られたくないものほど大切に扱うんだな」と思った。
『ラブコスメ リュイール ホット』は、女性のデリケートゾーンの“外側”に使う、無香料・無着色の透明ジェルだと書いてある。適量はあずき粒大くらいで、塗って優しくマッサージすると、じんわり温かさを感じるらしい。

メントールが微量入っているから、清涼感が先に来て温かさが分かりにくい場合もある、とも。なんだか正直でいい。万能を装っていない。

説明を読んでいるだけで、胸の奥がそわそわする。私はいつから「気持ち良くなりたい」と思うことを、そんなに後ろめたいものにしてきたんだろう。気持ち良さって、贅沢でも、甘えでもなくて、たぶん“生き物としての自然”に近いのに。

それでも、手に取る瞬間は、少しだけ怖い。怖いのは刺激じゃなくて、たぶん私の心の方。期待して、何も変わらなかったらどうしよう。温かくなるはずなのに、温かくならなかったら。自分の体が鈍いみたいで、また自己否定の材料が増えるかもしれない。

だから私は、いきなり「答え」を取りにいかないことにした。今日はうまくいかなかった日。なら、うまくいかなかった私のまま、試してみる。成功とか失敗とかより、「いまの自分を触ってみる」ことから。

洗面所ではなく、部屋の間接照明だけにした。明るいと、現実が強すぎる。カーテンを閉めて、スマホは伏せて、湯たんぽを抱えた。これ、私にとっては大事な儀式だ。私の部屋で、私の体を、私がちゃんと扱うための。

うまくいかなかった日の、からだの温度

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指先にあずき粒大、と書かれていた量を出す。想像より少ない。けれど少ないからこそ、「足りない」って言い張る自分も出てこない。透明のジェルは、ちゃんとジェルなのに、どこか美容液みたいにさらっとしていた。無香料といっても、ほんのりハーブの気配がするのは、植物由来成分が入っているからだろうか。

深呼吸をして、手のひらで少し温める。いきなり塗るより、その方が自分の気持ちが追いつく。誰にも見られていないのに、なぜか「見られている」気がするのは、長年の癖だ。私は、私のことを一番厳しく見張っている。

説明には「優しくマッサージを続けて、ゆったり5分以上がおすすめ」とあった。5分って、長い。普段の私が“美容のため”に5分マッサージするのはできるのに、“気持ちのため”に5分は、なぜかハードルが高い。真面目すぎて笑う。(ラブコスメ)

最初は、温かいというより、すーっとする感じが先に来た。メントールのせいかもしれない。あ、やっぱり私は温かさを感じにくいタイプなのかな、と、すぐに結論を出しそうになる。そうやって、私は何でも早く“答え”にしてしまう。答えにしてしまえば、次に進めるから。だけど今日は、答えにしない。今日は、揺れていい日。

指先の動きが、少しずつゆっくりになる。心の焦りがほどけるまで、体が先に待ってくれるみたいに。じんわり、という表現は、たぶんこういうことだ。急に熱くなるわけじゃない。ぼんやりした灯りが、内側から増える。寒い夜に、コンロの火をつけた時の、あの安心に似ている。

気持ち良さって、派手じゃなくていいんだな、と、思った。むしろ派手にしようとすると、緊張する。今日の私は、派手に生きる余裕がない。だから、こういう“静かな良さ”がありがたい。

それでも、途中で何度か、頭が戻ってくる。
「明日、あの資料どうしよう」
「言えなかったこと、やっぱり悔しい」
そういう思考が、すぐに割り込んでくる。私の脳は、私を守ろうとしているんだと思う。気持ちに溺れたら危ないよ、と。

触れることは、逃げじゃなくて確認かもしれない

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そこで私は、あることに気づく。私はずっと、“ちゃんとした大人”でいるために、体の声を後回しにしてきた。お腹が空いても、あとで。眠くても、あとで。泣きたくても、あとで。気持ち良くなりたくても、あとで。そうやって後回しにしたものが、積もって、今日みたいな「小さな失敗」に敏感になるのかもしれない。

『リュイール ホット』の説明には、体はリラックスした状態で、心は興奮した状態がベスト、と書いてあった。感情が重要だ、とも。私はここが、少しおもしろいと思った。興奮って、派手なものじゃなくていい。たとえば「自分のために時間を使ってる」という、静かな高鳴りでもいいのかもしれない。

そして同時に、ちょっと怖くもなる。感情が重要だということは、感情が揺れている日は、結果も揺れる。うまくいかない日には、うまくいかないなりの反応しか出ないかもしれない。でも、それって当たり前じゃない?と、今日は自分に言ってあげたくなった。

私は“これで絶対こうなる”みたいな約束に、もう疲れている。スキンケアも、ダイエットも、恋愛も。全部「これさえすれば」って言われるたび、できなかった私が置いていかれる。だから、約束しないコスメって、ちょっと優しい。

マッサージを続けているうちに、体が「あ、いまここにいる」と言ってくる。気持ち良さは、点数じゃない。合格不合格じゃない。たぶん、私が私に戻るための、目印みたいなもの。

ここまで書くと、なんだか“いい話”にしたくなるけど、今日はそうじゃない。正直、私の中にはまだモヤっとした部分が残っている。たとえば、こういうアイテムを使うことに、どこかで「自分で自分を満たすしかない」みたいな孤独がちらつく瞬間がある。恋人がいるいないの話じゃなくて、もっと根っこのところで、「誰かに頼れない私」が顔を出す。

でも、逆の見方もできる。誰かに頼る前に、自分を扱えるって、悪くない。むしろ、私の人生の責任者は私だし、私の体の取扱説明書を読むのも私だ。誰かと一緒にいる時にも、その方がきっと楽になれる。

そう思いながら、私はまた少しだけ笑ってしまう。私は今、湯たんぽを抱えたまま、真面目に自分の体を「確認」している。ちょっと面白いし、ちょっと切ない。どちらも本当。

使ったあと、私はぬるめの白湯を飲んだ。部屋は相変わらず寒いのに、胸のあたりだけがゆるい。今日言えなかった「やります」は、明日も言えるか分からない。言えないかもしれない。でも、今日の私は、少なくとも“自分のために”は少しやれた。

そういえば、公式の案内に「デリケートゾーンの外側に利用」とはっきり書かれていたのも、私には安心材料だった。どこに使うものかが曖昧だと、不安が先に勝ってしまうから。蓋は回して開けるタイプで、無理に力を入れなくても開く、という細かい説明まであるのが妙に生活っぽい。

“気持ち良さ”の話になると、人は急にドラマにしたがるけれど、実際はこういう小さな安心の積み重ねで成り立っている気がする。自分の体に触れるとき、私は「今日はここまで」と線を引けるし、嫌だと思ったらやめていい。誰にも許可を取らなくていいし、誰かの機嫌も取らなくていい。そういう自由が、逆に少し怖い日もある。

自由って、気持ち良いはずなのに、慣れていないと落ち着かない。だから私は、今日の夜みたいに“ほんの少し”でいいのだと思う。大きく変わらなくていい。変わったかどうかも、判断しなくていい。ただ、明日の私が今日の私を嫌いにならない程度に、手当てしておく。そんな感じ。

このジェルが、私の人生を変えるとは思わない。そんな大きなことは望んでいない。だけど、今日みたいにうまくいかなかった日の夜に、「自分を雑に扱わない」ための小さなスイッチにはなりそうだと思った。温かさは、たぶん体だけじゃなくて、気持ちの方にも広がるから。

そして私は、まだ答えが出せないまま、ひとつだけ問いを置いて眠る。
“私は、気持ち良くなることを、もっと普通のことにしてもいいんじゃない?”

明日になったら、また強がってしまうかもしれないけど——今日は、少しだけ、私に優しくできた気がする。


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